認定看護師
certification

医療の現場で、高度化、多様化、複雑化する社会や時代の要請に応えるために、看護職員に対し専門分野の勉強会の実施や院内教育プログラムを担当するなど当院の看護の質の向上に積極的に取り組んでいます。院外活動では看護協会の研修会や講習会、看護師養成施設の講師やセミナーの講師など県内外で幅広く活躍しています。当院では、認定看護師を目指す方に支援を行っています。

総合周産期母子医療センター 不妊症看護認定看護師 長沼 順子

認定看護師(Certified Nurse:認定された・認証された看護師)とは日本看護協会で制定された制度であり、専門性を高め、熟練した看護技術と知識を用いて看護ケアの質の向上を図ることを目的としています。

専従で活動している認定看護師は、施設全体における状況の評価と予防、管理システムの構築等、医療チームとしての役割を果たしています。認定看護師それぞれが目標を掲げ、所属する部署において専門性を発揮し現場のニーズに応え、看護外来や院内ラウンド、コンサルテーション等、横断的に活動しています。また、院外においても講師や研修会の開催、他施設の認定看護師との交流、連携等、活動の場を広げています。私自身も不妊症看護認定看護師としてヘルスプロモーション(自らの健康をコントロールし改善できる)に基づき、思春期から更年期にある対象の性と生殖に関する健康と権利の支援を行っています。主な活動は不妊症予防教育や不妊グループケアの開催、妊娠時および妊娠後の看護ケアなどです。

そのほか年4回、認定看護師活動委員会を開催しています。委員会では横のつながりを深める目的で各々の看護実践内容を共有、承認し目標に対する振り返り、評価のほか、お互いが活発に活動できるよう意見交換等を行っています。

超高齢化社会において、今後の医療を支えるためにもチーム医療を推進し、看護職の役割を最大限に発揮していくことが必要です。様々な領域のスペシャリスト、よりよい看護実践ができる仲間が増えていくことを願っています。

長沼 順子

新棟4階 緩和ケア病棟 緩和ケア認定看護師 疋田 督子

「緩和ケア」という言葉にどのようなイメージを持っていますか?「治療ができなくなった方への医療」、「がんの終末期」と思っている方も多いようです。  緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に同定し、適切な評価と治療によって、苦痛の予防と緩和を行うことで、QOL(Quality of Life:生活の質)を改善するアプローチです。緩和ケアは、がんと診断されたときから始まり、その後も必要に応じて提供され続けることが理想とされていますが、すでに体や心のつらさを抱えた患者様と関わらせていただく状況が多くあります。そのような患者様やご家族に寄り添い、つらさを少しでも緩和できるよう、チームを組んで支えていくこと、また、気兼ねなく相談できる存在であることを心掛けています。

一生のうち、日本人の2人に1人ががんと診断される時代です。少しでも多くの方が、がんの症状と上手につきあい、生活の質が高められるよう、患者様、ご家族、スタッフと共に考え、日々を向き合いながら活動しています。必要としている方にケアが届くよう、それを心に留めながら活動していきたいと思っております。

疋田 督子

看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師 江幡 五月

スキンケアを基盤として、創傷(Wound)ケア、ストーマ(Ostomy)ケア、失禁(Continence)ケアの領域で皮膚障害のリスクの高い弱った皮膚に対し、健康を取り戻すことを目的としてケアの提供をしています。
キズが早く治る環境のお手伝いやストーマを保有している方の生活支援、失禁でかぶれてしまった肌を健康にするための方法を提案させていただいています。褥瘡に関しては、褥瘡対策委員会と連携をして、褥瘡の発生予防に努めています。

江幡 五月

救命救急センター 救急看護認定看護師 田中 美穂

救急看護とは、突発的な事故や、急性疾患、慢性疾患の急性増悪などのさまざまな状況によって、救急処置が必要な対象に実施されます。また、場所、疾患、対象の発達段階、診療科、重症度を問うことはありません。そのため、救急に関する専門的な知識・技術だけでなく、幅広い医学的知識と看護技術が必要となります。
救急看護は、救急外来や救命センターなどの医療施設内での実践が主ですが、ドクターカーやドクターヘリなどの病院前救護、介護施設や学校、一般市民に対しての救命処置の講習会などの医療施設以外でも行っています。
私は救急看護認定看護師として、職員の救急に関する教育や院内急変対応、RRS(Rapid Response System)などの事後検証を行っています。心疾患術後患者家族に対して、心肺蘇生法の講義を行い、安心して退院できるように援助しています。そのほか、一般市民に対しての心肺蘇生法や学校における心肺蘇生教育の普及にも取り組んでいます。

田中 美穂

救命救急センター 集中ケア認定看護師 菊池 舞子

私は「もっと知識や技術を深めたい」「自分より若いスタッフへきちんと指導できるようになりたい」と思い、集中ケア認定看護師を目指し、看護師9年目に取得しました。教育機関での学びは、私にとって、何者にも代えがたい心の財産となっています。

集中ケア認定看護師となり、患者さんへの直接的なケアやスタッフへの指導だけでなく、呼吸ケアサポートチームや院内救急対応システム等の院内のシステム作りや他職種を含めた指導を行っています。当院では、集中ケア認定看護師は私ひとりですが、院内の認定看護師の先輩方や他施設の集中ケア認定看護師の仲間に助けてもらいながら、とても充実した毎日を送っています。まだまだ、知識や技術を深めている途中ですが、少しでも患者さんやスタッフに還元できるよう、今後は早期リハビリテーションや重症化の回避に向けての活動を行っていくことが目標です。

菊池 舞子

看護部 認知症看護認定看護師 浅井 佳子

急激な高齢化社会に伴い認知症の発症は増え続けています。認知症による症状は、多種多様であり、入院という大きな環境の変化や活動力の低下で症状が悪化してしまうケースもあります。認知症高齢者の意思を尊重しながら個々の患者様の心身の状態を総合的にアセスメントし、より良い療養環境を整えながら、生活の質向上を目指しています。他職種と連携して専門的な知識・技術を活かし、入院前から退院へ向けて、その人がその人らしく安心・安楽に日常生活が送れるよう患者・家族様への支援をしていきたいと思います。

浅井 佳子

慢性心不全看護認定看護師 平松 義和

慢性心不全は、急性増悪を繰り返すごとに心機能が低下していく進行性の病態です。医療技術の進歩と高齢化社会により、心不全となる患者さんは増加しています。
慢性心不全看護認定看護師の役割として、心不全患者さんの病気の状態に応じた生活調整や、心不全を悪化させる要因の評価やモニタリングといった役割があります。心不全患者さんは、日常生活において食事や水分、活動など、制限を多く強いられる場合があります。そのような状況の中で、退院後、制限ばかりの生活ではなく、それぞれに適した日常生活のあり方を一緒に考えていければと思っています。また、循環器看護における看護師一人ひとりの看護実践能力の向上を目指して、院内の教育活動も充実させたいと考えています。

平松 義和